天界の甘露

20150612
雨の季節になると思い出す美しい日本語。

「梅雨期が来ると一雨ごとに緑の毛氈(もうせん)が濃密になるのが、不注意なものの目にもきわ立って見える。静かな雨が音もなく芝生に落ちて吸い込まれているのを見ていると、ほんとうに天界の甘露を含んだ一滴一滴を、数限りもない若芽が、その葉脈の一つ一つを歓喜に波打たせながら、息もつかずに飲み干しているような気がする。」(寺田寅彦 「芝生」)

あー、最近目にする耳にする日本語といえば説教と宣伝と事務連絡ばかり。極限まで練られた珠玉の日本語の美しさを忘れないでいたいものです。